嫉妬も、裏切りも、嗚咽も、全部
色づく葉を眺めながら、肌寒さに身を震わせる
漂う金木犀の香りに、新たな季節の訪れを感じた
私の横でコロコロと笑みをこぼす友は、可憐と言う言葉がよく似合っていた
「でね、涼くんが教科書貸してくれたの!やっぱり優しい…」
私の友、宮下みこはクラスメイトの佐山涼が好きだ
「そういえば、いつも私ばっかり話してるよね?
夏希は好きな人とかいたりしないの?笑」
「私は…いないかな」
「えーほんと?笑」
いない
そう答えた自分にまた嫌気がさした
私もほんとは、涼が好きだから
「涼くん、夏希と幼馴染だからいろいろ聞いてくれてほんとに助かる!
夏希に好きな人ができたら、私にも協力させてね!」
「うん、ありがと笑」
涼が好きって言いたいのに
みこを傷つけたくない
でも、みこと涼がどんどん仲良くなってくところを見ていると
自分の腹の中で黒いものが渦巻いているのがよくわかる
醜い感情から目を逸らして、また心に蓋をした
「私さ、明日涼くんに告白するの」
ある日の帰り、頬を赤らめながらみこはそう言う
突然のことに声が出なかった。空いた口が塞がらなかった
やばい、涼が、涼が取られる
私のものでもないのに、そう思ってしまった
「そっか、頑張ってね」
涼は私の幼馴染なのに、私が一番好きなのに
言わなかった私が悪い
ここは諦めるのが妥当だ
でも、私の判断力はまだ未熟だった
私は、涼に告白することを選択した
"涼ー"
この一言だけなら、いつもは何も感じなかった
でも今日は、緊張で送信ボタンを押す指が震えた
"どうした?"
画面に映るただの文字の羅列が、とても輝いて瞳にうつる
"結構大事な話があるんだけどいい?"
"いいよ、なに?"
"私さ、涼のこと好きなんだ"
送ってしまった。ついに、送ってしまった
返事は…
"ごめん。俺好きな人いるんだ"
頭が真っ白になった
次の日は土曜日だった
今日、みこは涼に告白するんだ
そう思うと胸が痛かった
日がだんだん落ちてきた。夜がやってくる
そんなとき、不意にインターホンが鳴った
宅配便かと思ったが、どうやら違うようだ
モニターに映ったのは笑みを浮かべるみこだった
けれど、その瞳に温かさはなく、冷ややかな目をしていた
背筋が凍る感じがした
「みこ、」
「夏希、告白、成功したよ」
「よかったじゃん。おめでとう」
思ってもいないことを口に出すのは、抵抗こそあるものの簡単だった
「でさ、」
そこでみこの笑みは消えた
「夏希、涼くんに告白したって、ほんと?」
冷め切ったその淡々とした声は、とてもみこのものとは思えなかった
「夏希は好きな人いないって言ってたよね?
涼くんのこと、奪おうとしてたってこと?」
「それは…」
「この、裏切り者!!!」
パチンと言う音が響くと同時に、頬に強い衝撃が走った
「夏希がそんな子だなんて思わなかった」
スタスタと去っていくみこ
私は追いかける気力も出ず、ジンジンと痺れる頬を抑えながら、
ただ呆然とみこを見つめているしかできなかった
裏切り者
その言葉がぐるぐると頭の中を掻き回す
気付けば、目から大粒の負の感情が溢れていた
嗚咽する自分の声が、ひどくみっともなかった
写真のフォルダを整理しているときに出てきた
みこと私のツーショット
もう10年近く経ったのか
あの懐かしくて苦い思い出が、その写真を見て蘇ってきた
あれからずっとみことは疎遠だ
涼も、あの一件から話すことがなくなった
私とみこ共通の友人から聞いた話によると、二人はつい最近結婚したそう
それを聞いて私は複雑な感じがした
全て私が悪かった
でも見たかったな、みこのドレス姿。涼のタキシード姿
過去の過ちはもう正せない
手遅れなんだ
心に空いた穴が、どうにも塞がらないままだった ぬづさん(愛知・12さい)からの相談
とうこう日:2024年7月4日みんなの答え:1件
漂う金木犀の香りに、新たな季節の訪れを感じた
私の横でコロコロと笑みをこぼす友は、可憐と言う言葉がよく似合っていた
「でね、涼くんが教科書貸してくれたの!やっぱり優しい…」
私の友、宮下みこはクラスメイトの佐山涼が好きだ
「そういえば、いつも私ばっかり話してるよね?
夏希は好きな人とかいたりしないの?笑」
「私は…いないかな」
「えーほんと?笑」
いない
そう答えた自分にまた嫌気がさした
私もほんとは、涼が好きだから
「涼くん、夏希と幼馴染だからいろいろ聞いてくれてほんとに助かる!
夏希に好きな人ができたら、私にも協力させてね!」
「うん、ありがと笑」
涼が好きって言いたいのに
みこを傷つけたくない
でも、みこと涼がどんどん仲良くなってくところを見ていると
自分の腹の中で黒いものが渦巻いているのがよくわかる
醜い感情から目を逸らして、また心に蓋をした
「私さ、明日涼くんに告白するの」
ある日の帰り、頬を赤らめながらみこはそう言う
突然のことに声が出なかった。空いた口が塞がらなかった
やばい、涼が、涼が取られる
私のものでもないのに、そう思ってしまった
「そっか、頑張ってね」
涼は私の幼馴染なのに、私が一番好きなのに
言わなかった私が悪い
ここは諦めるのが妥当だ
でも、私の判断力はまだ未熟だった
私は、涼に告白することを選択した
"涼ー"
この一言だけなら、いつもは何も感じなかった
でも今日は、緊張で送信ボタンを押す指が震えた
"どうした?"
画面に映るただの文字の羅列が、とても輝いて瞳にうつる
"結構大事な話があるんだけどいい?"
"いいよ、なに?"
"私さ、涼のこと好きなんだ"
送ってしまった。ついに、送ってしまった
返事は…
"ごめん。俺好きな人いるんだ"
頭が真っ白になった
次の日は土曜日だった
今日、みこは涼に告白するんだ
そう思うと胸が痛かった
日がだんだん落ちてきた。夜がやってくる
そんなとき、不意にインターホンが鳴った
宅配便かと思ったが、どうやら違うようだ
モニターに映ったのは笑みを浮かべるみこだった
けれど、その瞳に温かさはなく、冷ややかな目をしていた
背筋が凍る感じがした
「みこ、」
「夏希、告白、成功したよ」
「よかったじゃん。おめでとう」
思ってもいないことを口に出すのは、抵抗こそあるものの簡単だった
「でさ、」
そこでみこの笑みは消えた
「夏希、涼くんに告白したって、ほんと?」
冷め切ったその淡々とした声は、とてもみこのものとは思えなかった
「夏希は好きな人いないって言ってたよね?
涼くんのこと、奪おうとしてたってこと?」
「それは…」
「この、裏切り者!!!」
パチンと言う音が響くと同時に、頬に強い衝撃が走った
「夏希がそんな子だなんて思わなかった」
スタスタと去っていくみこ
私は追いかける気力も出ず、ジンジンと痺れる頬を抑えながら、
ただ呆然とみこを見つめているしかできなかった
裏切り者
その言葉がぐるぐると頭の中を掻き回す
気付けば、目から大粒の負の感情が溢れていた
嗚咽する自分の声が、ひどくみっともなかった
写真のフォルダを整理しているときに出てきた
みこと私のツーショット
もう10年近く経ったのか
あの懐かしくて苦い思い出が、その写真を見て蘇ってきた
あれからずっとみことは疎遠だ
涼も、あの一件から話すことがなくなった
私とみこ共通の友人から聞いた話によると、二人はつい最近結婚したそう
それを聞いて私は複雑な感じがした
全て私が悪かった
でも見たかったな、みこのドレス姿。涼のタキシード姿
過去の過ちはもう正せない
手遅れなんだ
心に空いた穴が、どうにも塞がらないままだった ぬづさん(愛知・12さい)からの相談
とうこう日:2024年7月4日みんなの答え:1件

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すごい! 色々な情景を細かく描写しているにもかかわらず、リズムのいい進み具合や登場人物の心情をうまくキャッチしていていい作品だと思った。特にクライマックスでの表現を上手に表していて感情移入がしやすく読者も読みやすいから、、、すごい、、
僕もこんな小説書きたいなって思った! スピカさん(岐阜・14さい)からの答え
とうこう日:2024年10月16日
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