高慢な女王様
私には、心底わかりあえない人がいる。
それは天音。天の音と書いてあまね。
彼女はクラスの中で、女神様、と呼ばれている。
勉強がそこそこ出来て、優しくて、面白くて、それで、綺麗だ。
いっつも楽しそうで、話は尽きなくて、頭が良くて。それが天音だという。でも、私には天音が馬鹿にしか見えなくって、必死に気取った道化で、そんな人を演じる天音の嘘が、醜くって嫌いだった。
私は天音が嫌いだ。何故そんなにも嘘を重ねるのか、理解が出来ないから。
「わっ、これから部活あるのに……。」
女子の声が聞こえる。今日もクラスは騒がしいようだ。
「大丈夫?どうかしたの。」
「天音さん……!あのね、これから部活あんのに、これ、職員室まで運ばなきゃって言われてさ。早く行かないと怒られちゃう。」
あわあわと慌てる彼女を他所に、天音はふっと笑った。
「私、運ぼうか。」
唇が弧を描き、自然な動作でこれ、呼ばわりされた書類をとる。
「いいの!?ありがとう。さっすが女神様!」
彼女は走って行って、残された天音は、職員室へ静々あるいていく。
「なんで、そんなことしたの。」
「だって、ほっとけないでしょ。」
模範解答。花丸、満点。綺麗に笑う天音は、流れる様にそれを言ってみせた。
「嘘。」
「……建前はね、ほっとけないの。でもね、私ね、怖いの。」
「何が。」
「怨嗟に叫ぶ人よ。激情にその身を任せて、何をするかなんて分からない。あの子だって、女神様が手伝わなかったら何をするかたまったもんじゃない。」
そっと、目を伏せた。その儚い仕草が気取ったみたいで気に入らない。
「女神様にも怖いものがあったなんて。じゃあ、嫌いな人だっているの?」
「まあね。」
傲慢な人が嫌い。自己中な人が嫌い。
紡がれる言葉の数々に、ぎょっとした。
「あの子だって、そう。私、もうちょっと誠意をみせたっていいと思うの。」
なんて、傲慢。天音が、天音が1番傲慢だった。自己の理想を、皆に押し付ける。
彼女の理想郷には、個々の思いなど存在しないのだろうか。
「例えばね。先生が、手を挙げなさいと仰れば、皆が手を挙げる。右を向けと仰れば、皆一同に右を向く。皆手を繋いで仲良く。素敵な世界だと思わない。」
微笑む天音に、幼さ故の狂気が垣間見えた。おぞましくって、好きになれない。貴方は何を言っているんだ。
「これが、私の求める皆の在り方よ。それ以外は、高慢。私の嫌いな人。でもね、それでとやかく言われるのは怖いから、好きなふりをするの。」
怖い、悍ましい。無理だ。天音は貴方とは相容れない。
「私はどうも貴方が嫌いなようだ。」
「……そう、ね。」
傷ついたふりも演技くさくて嫌。
「あなたなんて、駄目。駄目な人。一番誰が高慢か、わかってるでしょ。」
彼女が悲しそうに目を伏せる。瞳は潤み、揺れ、下唇を噛んでる。
「そうよ。貴方が私を好きになることなんてない。貴方は天音で、私も天音でも、貴方は私ではない。」
でも、しょうがないじゃない。これでも尚詭弁を続ける私が、見苦しい。
「私、みんなに認めて欲しかったの。褒めて貰いたかったの。その為に尽くすなんて、当然でしょう。」
本当は、私にも認めて欲しかったのだけれど。
天音は嫌い。貴方はほんっと傲慢で嫌い。私だって嫌い。傲慢な人が嫌い。傲慢な私が嫌い。
「最初に、私に、貴方を好きになれば良かったのかしら。」
悲しそうに嗤う私が、紅に塗れた気がして。ずきり、胸が痛んだ。
長文失礼しましたm(_ _)mここまで読んでくれて有難うございます!!天音は私で、貴方だった。支離滅裂ですが、コメント頂けると幸いです。泣いて喜びます。是非ともお願いします!! えびさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2024年5月24日みんなの答え:1件
それは天音。天の音と書いてあまね。
彼女はクラスの中で、女神様、と呼ばれている。
勉強がそこそこ出来て、優しくて、面白くて、それで、綺麗だ。
いっつも楽しそうで、話は尽きなくて、頭が良くて。それが天音だという。でも、私には天音が馬鹿にしか見えなくって、必死に気取った道化で、そんな人を演じる天音の嘘が、醜くって嫌いだった。
私は天音が嫌いだ。何故そんなにも嘘を重ねるのか、理解が出来ないから。
「わっ、これから部活あるのに……。」
女子の声が聞こえる。今日もクラスは騒がしいようだ。
「大丈夫?どうかしたの。」
「天音さん……!あのね、これから部活あんのに、これ、職員室まで運ばなきゃって言われてさ。早く行かないと怒られちゃう。」
あわあわと慌てる彼女を他所に、天音はふっと笑った。
「私、運ぼうか。」
唇が弧を描き、自然な動作でこれ、呼ばわりされた書類をとる。
「いいの!?ありがとう。さっすが女神様!」
彼女は走って行って、残された天音は、職員室へ静々あるいていく。
「なんで、そんなことしたの。」
「だって、ほっとけないでしょ。」
模範解答。花丸、満点。綺麗に笑う天音は、流れる様にそれを言ってみせた。
「嘘。」
「……建前はね、ほっとけないの。でもね、私ね、怖いの。」
「何が。」
「怨嗟に叫ぶ人よ。激情にその身を任せて、何をするかなんて分からない。あの子だって、女神様が手伝わなかったら何をするかたまったもんじゃない。」
そっと、目を伏せた。その儚い仕草が気取ったみたいで気に入らない。
「女神様にも怖いものがあったなんて。じゃあ、嫌いな人だっているの?」
「まあね。」
傲慢な人が嫌い。自己中な人が嫌い。
紡がれる言葉の数々に、ぎょっとした。
「あの子だって、そう。私、もうちょっと誠意をみせたっていいと思うの。」
なんて、傲慢。天音が、天音が1番傲慢だった。自己の理想を、皆に押し付ける。
彼女の理想郷には、個々の思いなど存在しないのだろうか。
「例えばね。先生が、手を挙げなさいと仰れば、皆が手を挙げる。右を向けと仰れば、皆一同に右を向く。皆手を繋いで仲良く。素敵な世界だと思わない。」
微笑む天音に、幼さ故の狂気が垣間見えた。おぞましくって、好きになれない。貴方は何を言っているんだ。
「これが、私の求める皆の在り方よ。それ以外は、高慢。私の嫌いな人。でもね、それでとやかく言われるのは怖いから、好きなふりをするの。」
怖い、悍ましい。無理だ。天音は貴方とは相容れない。
「私はどうも貴方が嫌いなようだ。」
「……そう、ね。」
傷ついたふりも演技くさくて嫌。
「あなたなんて、駄目。駄目な人。一番誰が高慢か、わかってるでしょ。」
彼女が悲しそうに目を伏せる。瞳は潤み、揺れ、下唇を噛んでる。
「そうよ。貴方が私を好きになることなんてない。貴方は天音で、私も天音でも、貴方は私ではない。」
でも、しょうがないじゃない。これでも尚詭弁を続ける私が、見苦しい。
「私、みんなに認めて欲しかったの。褒めて貰いたかったの。その為に尽くすなんて、当然でしょう。」
本当は、私にも認めて欲しかったのだけれど。
天音は嫌い。貴方はほんっと傲慢で嫌い。私だって嫌い。傲慢な人が嫌い。傲慢な私が嫌い。
「最初に、私に、貴方を好きになれば良かったのかしら。」
悲しそうに嗤う私が、紅に塗れた気がして。ずきり、胸が痛んだ。
長文失礼しましたm(_ _)mここまで読んでくれて有難うございます!!天音は私で、貴方だった。支離滅裂ですが、コメント頂けると幸いです。泣いて喜びます。是非ともお願いします!! えびさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2024年5月24日みんなの答え:1件

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とっても面白いです! こんにちは。
るりと申します。
最後のところでおどろきました。
そうなのですね〜。
天音は「私」だったのですね。
えびさんの他の小説も読んでみたく存じます。
素晴らしい小説をありがとうございます!
文章下手で甲しわけありません。
えびさんにいいことがありますように。
るりさん(その他(海外)・11さい)からの答え
とうこう日:2024年8月29日
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